今から約5万年前、地球上には、ヨーロッパに身体が大きく、筋肉質の白人であるネアンデルタール人が現れ、アフリカでは小柄だが頭脳の発達したサピエンス人が現れた。
ネアンデルタールは家族単位で生活し、サピエンスは集団で生活していたという証拠が遺跡から確認されている。
サピエンスは狩猟の道具も工夫しながら北上し、地球の気候変動で極寒になった中でも、集団で狩猟を行い、防寒着も作り身を守る方法を学んで行った。
一方ネアンデルタールは家族単位で孤立したため、知識や技術の進歩が見られなかったが、サピエンスとネアンデルタールが遭遇することになり、新しい家族形成が始まった。
ネアンデルタールは現在のイギリス辺りで絶滅した。
現在の人類はサピエンスの進化によるものだが、約2%、ネアンデルタールのDNAが混じっていることが分かっている。
歴史の解説をしているよう見えるかもしれないが、私たちが人として助け合うことが出来る根源は、サピエンスの築いてきたコミュニティを求めるDNAが刷り込まれているからだと私は思う。
「共助」とい言葉をわざわざ言わなくても、困っている人を見過ごせないとか、一人で判断するよりみんなで考えようとするのは現在の人間の本質なのだろう。
アメリカのイエール大学の実験で、生後1年の赤ちゃんに人形劇を見せて、いじめる人形と、優しくする人形を見せると、95%の赤ちゃんが優しい方の人形を欲しがるとい結果だ。
これがDNAということではないだろうか。
災害に対する近隣共助とは、学ぶということではなく、本質を思い出すことであり、私たちは一人では生きて行けないことを思い起こすことからではないだろうか。
9月16日のNHKスペシャルで、改めて考えさせられた。
2018年9月18日
理事長 伊永勉