試されるボランティア活動

7月早々からは始まった日本列島を縦断する豪雨災害は、まだまだ予断を許さない状況で、被害が心配されます。今回の豪雨災害は、被災地域が1~2県にとどまらず、西日本から東日本という広範囲に及んでいます。週が明けて被害状況が見えてくると、全国でボランティア活動が活発に始まることになるでしょう。特に夏休みがちかいことから、多くの若者が参加することが予想されます。今こそJVOADが先陣をきって、今後始まるボランティア活動の調整をするべきだと思います。
マスコミ報道の視点の違いで、一部の地域に偏らないよう各地域の被災状況を集約し、社協が開設するボランティアセンターの情報や日本財団等の支援制度を含めて、ボランティアの効率の良い適正配置と受入情報をJVOADが集約して発表できるという体制をとるべきだと思います。それを内閣府、全社協、日赤等からも発表するというところまで統制が取れれば、マスコミの報道が整理され、ローカルのテレビ局はその地域の詳細を報道し、全国のキー局も、正しいボランティア情報を報道できるのではないでしょうか。そして、今後の災害ボランティアの全国ネットワークの基盤は安定し、南海トラフや首都圏地震などにも対応できるのではないでしょうか。私は、そうなることを期待しています。JVOADへの参加を嫌がるボランティア団体もあるかもしれませんが、多くの産官民の連携で結束した組織です。私は、JVOADが米国のNVOADに匹敵する、日本の代表になってほしいです。

 2018年7月8日
理事長 伊永勉

JVOAD(特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)

現地調査を終え気になる被災者支援の行方

6月22日に高槻市の一部と茨木市の一部に現地調査へ行きました。
現地調査では、被害の大きかった地域の被災状況を見させていただきました。
一部、住民の方のご厚意で、当時の状況や住宅内の被害についてお話を聞かせていただくことができました。
全国的なマスコミでの報道は減り、被害があまり発信されていないようにも感じますが、被災地では、全壊や半壊といった家屋は見受けられませんでしたが、外壁の落下や、ひび割れ、傾き、ブロック塀の傾きなど様々な被害を見ることができました。

一部倒壊しているブロック塀

また、多くの家屋では、室内の家具の転倒や、亀裂などで、安心して住める状況ではない人もいました。
避難所や親族の家に避難しながら、日中片付けなどに訪れてる人もいました。
被災地をみて、感じたことは、東日本大震災や熊本地震のような見るからに被害が大きい災害ではなかったかもしれないですが、被災された方の被害は大きく今後の支援の重要性を感じました。

亀裂の入った玄関のタイル
亀裂の入った壁

また、避難所も見に行かせていただきましたが、平日であったため日中は人がほとんどいない状況でした。
現地調査へ行った22日も暑い日で、避難所の中での生活は、健康管理に十分な注意が必要であると再認識しました。
避難所生活への支援も重要と感じました。

日中の避難所

現地調査の際にも、余震による二次災害防止のため、建物の損傷の状態を点検する応急危険度判定が行われていましたが、6月20日現在の状況は、赤色(危険)判定戸数(危険判定戸数/調査済戸数)は、大阪市北区4戸/825戸、高槻市21戸/97戸、茨木市14戸/51戸で、箕面市・摂津市も検査中で、まだまだ時間がかかることと感じました。
私が気にしているのは、全壊家屋が京都府も含めて10棟未満となりそうな今回の地震による被害ですが、被災者生活再建支援法の適用はあるのかという事です。
この制度では、住宅が全壊か半壊の場合、やむを得ず解体した場合、居住不能な状態が長期化する場合、大規模は補修をしなければ居住が困難な場合に支援金が支給されますが、制度の対象となる住居はどのくらいになるのでしょうか。
この制度の対象となる自然災害は、大まかにいうと、災害救助法施行令に該当する自然災害で、10世帯以上の全壊住宅が発生した都道府県市町村となり、人口によって若干の条件の違いはあります。
条件に適合すれば制度が適用され、例えば、全壊100万円、再建に200万円等の支援金が出るようですが、制度の適用とならない場合は、当該自治体において対応を決めることになっているため、今回はどうなるのか気になるところです。
大阪府の松井知事は、大阪北部地震で一部損壊した住宅の再建に向けた融資制度を検討していることを明らかにしましたが、支援金の給付には触れていません。
兵庫県立大学防災教育研究センター長の室崎先生は、「財政力のない人は、一部損壊と認定され財政支援が得られないと、傾いた家を修理することも出来ず、危険な住宅に住み続けざるをえません。再建を支援するという視点と事前減災で耐震化するという視点から、修理のための支援金を提供できるよう、制度の見直しあるいは弾力的運用が求められます。」との談話を発表されている。

2018年6月26日
理事長 伊永勉

壁の一部が剥離していた
壁が一部はく離したマンション

写真はすべて、6月22日にADI災害研究所が撮影したものです。

災害時に”いのち”を救う「隣組」

18日に発生した大阪北部の地震では、2日目で死者5人という報道がされましたが、お一人は病死ということがわかり、震災との関連はまだ不明ですが、今回の地震では、家具等の下敷きになって亡くなっていても、すぐに見つからないということが起こっているようです。地震の揺れなどでけがをしても隣近所や地域の声掛けによってすぐに発見できる場合もあります。災害時に隣近所や地域で声替えを行い安否確認をするためには、やはり日常から地域で顔の見える付き合いが必要です。隣近所や地域で安否を気遣う関係を強めておかなければいけません。地震などの災害時に自分や家族の安全が確認出来たら、隣近所で声を掛け合う、地域で声を掛け合うことが重要になるのです。マンションなら同じフロアだけでなく、他のフロアの人とも顔見知りになる、また、マンションの住人以外とも顔見知りになり、いざというときに気にかけあえる関係づくりも大切です。これは、日本では昔からある「隣組」というものにあたるのではないでしょうか。「避難行動要支援者対策」として高齢者や障がいを持った人などの登録制度などが進められていますが、登録制度とは別に日常から地域でお互いに気にかけあう関係が非常に重要です。毎日、挨拶をする関係をつくり、地域活動に積極的な参加をすることが災害時の安否確認や、生命を救う道となるのではないでしょうか。

 2018年6月20日
理事長 伊永勉

大阪府北部を震源とする地震 今後の注意など

6月18日朝の大阪府北部を震源とする地震は、大阪市で震度6弱を観測したのは、大正12年の統計を取り始めてから初めてのことで、地震が他人ごとではないと痛感した方も多いのではないでしょうか。
有馬高槻断層帯、生駒断層帯、上町断層帯の、それぞれの近くにある場所が震源地でした。
今後、しばらくは余震の恐れがあります。十分注意してください。

南海トラフ巨大地震が発生する前兆ではないようですが、プレートの沈み込みで、内陸部にはひずみが溜まっていると言われています。
約8千年前の縄文時代から、大阪平野は堆積地でもとは、川や湖であったところも多く、今回被害のあった大阪や京都の土地は揺れやすい土地といえます。
余震にも備えることはもちろん、そう遠くない時期に発生が予想されている大規模地震に備えて、本気で生命を守る備えが必要です。
大阪市の北区や中央区はマンションが多く、地震によりエレベータ―が止まり、電話が掛かりにくくなり、けがをしても降りて行けないことになります。
そんなマンションにお年寄りも多く住んでいます。
いざというときに、自分の安否を気遣ってくれる家族・友人・知人や隣近所の人が必要です。
そして、自分が無事であるときは、隣近所や家族、知人、友人の安否を確認しあうことも大切です。

水や食料の備蓄の他に、眼鏡・入れ歯・お薬手帳・スリッパなど、無くてはならない物は寝ているときに地震が起きても慌てず身に着けられる手元に置きましょう。
家具の固定だけでなく、ドアを開けているときはストッパーをかけておくことや、窓にはカーテンをして、ガラスが割れた時の飛散を防ぐなどの工夫で二次災害を防ぎましょう。
また、ガスのマイコンメーターが大きな揺れなどを感知して、安全のためガスを遮断している場合があります。
その場合はマイコンメーターの復帰操作が必要です。
大阪ガスのWEBサイトに復帰操作方法が載っていますので、参考にしてください。
http://www.osakagas.co.jp/hukkisousa/

震災発生直後には嘘やデマなどがSNSに流れることもあります。
デマなどに惑わされないよう情報入手する際は確認しましょう。

また、今日19日から明日に20日かけて西日本を中心に落雷や大雨のおそれがあります。
低い土地の浸水や、河川の増水などにも注意が必要です。
そして、今回の地震で地盤が緩んでいるとこともあり、土砂災害にも注意が必要です。
最新の情報を確認して、早めに対策や避難をしてください。
気象庁のホームページ
片平理事のTwitterも参考にしてください。

余震が続いていて、不安な方も多いと思います。
お互い、声掛けをして助け合いましょう。
昨日から関西テレビの報道ランナーに出演して、解説をしています。

なるべく、皆さんにわかりやすいように解説したいと思っております。
本日も出演予定です。ぜひご覧ください。

2018年6月18日
理事長 伊永 勉