今こそ、民間活力を活かせ!!

近年の地震や豪雨災害のような大規模災害が通年発生し続けていることや、日本の気候が亜熱帯に近づいていて、災害の模様がこれまでと違ってきていることは多くの人がなんとなく気付いているのではないでしょうか。

平成29年7月の九州北部豪雨の被災地

自治体にもボランティア等の善意の行為にも人的・物的な限界があり、また善意に頼った災害対応でよいのかという気もします。
南海トラフや首都圏地震が起こったら、ボランティアはとんでもない人数が必要となりますが、広域に及ぶ大災害になったとき、そのような善意に頼ることはできるのでしょうか。

関西大学の河田教授達が呼びかけていた、「防災省」構想が話題になっています。
政府は消極的ですが、現在の災害時の対応は内閣府がまとめる官邸主導で、遅いのが現状ではないかと思っています。
そう考えると、米国のFEMAのような組織の設立は必要ともいえるのではないでしょうか。

ただ、私はその前にすべきこともあると考えています。
①被災の度合いや範囲にもよるが、被災地自治体は通常業務を停止して災害救援と復旧に専念し、通常業務は全国の応援職員がカバーする体制を構築しておく。
②大学生はボランティア活動に参加したら単位が取得できるシステムを作り、若い力を被災地に投入する。
③労働組合が有償で(有給休暇利用も)順番に動員をかけ、統制が取れた動員力で被災地支援を行う。
④高校などで防災教育を充実させ、学校単位でボランティア活動に参加する。
⑤企業は、社会貢献として企業の規模に応じた人員をボランティア活動に派遣する。
など制度化してはどうでしょうか。

東日本大震災 津波で折れた松の木

政府の国土強靭化懇談会で、提言させていただいた「災害時に潜在する民間のスキルを導入する」という案を、本気で検討していただきたいと願っています。

 2018年7月18日
理事長 伊永勉

平成30年7月豪雨災害 現地訪問報告

平成30年7月豪雨現地訪問速報

7月15日(日)岡山県の倉敷市の被災地を訪問しました。
今回は、私と副理事長の宮野先生、理事の永柳さん、川下の4人で行きました。
まず、岡山県庁の災害対策本部の物資支援班に行き、ADI災害研究所の会員企業である日本セイフティー㈱の自動ラップ式トイレ「ラップポン」の設置状況を確認。ラップポンは、各地の災害で避難所への設置を行っており、今回も岡山県、広島県、愛媛県に設置することになっています。
続いて、熊本地震の際、益城町にも設置し、好評を得たコイン式シャワーを㈱タニモトが提供する用意があることを紹介し、今後必要な用具・資器材等について要望をいただければ、ADI災害研究所の関係機関、団体、企業への声をかけ支援をしていくことをお伝えしました。
県庁周辺は、普段と変わらない街並みでした。

次に、倉敷市災害対策本部を訪問し、物資受け入れ担当と具体的な物資の調整について話し合い、コインシャワーの設置の協力ができる旨を伝えました。
また、他にも必要な用具や資機材等要望をいただければ、ADIの関係機関、団体、企業への声をかけ支援をしていくことをお伝えしました。
現在倉敷市では、物資の受付をいったん中断しているということで、必要なもので不足するものがわかり次第、ご連絡をいただくこととなりました。
お話の中で、土のう袋の不足が予想されることを確認し、これまでにも、ADIでは関係機関、団体、企業のご協力を得て、集めてきたことをお伝えし、復旧活動への協力を約束しました。
倉敷市役所周辺も普段と変わらない街並みという印象でした。
県庁や倉敷市の庁舎は、日曜日でしたが、災害対応ということで多くの職員が出勤して対応に当たられていました。
お忙しい中、お時間を頂戴したことに感謝したいと思います。

次に倉敷市社会福祉協議会を訪問し、事務局次長と面談し、ボランティア活動のための「炊き出し衛生マニュアル(発行 日本家政学会)」、と国交省や気象庁のなどボランティアにも注意してもらいたい情報サイト(QRコード)をまとめた一覧表をご提供させていただきました。
こちらでも、関係機関、団体、企業と連携して、支援をしていく旨をお伝えしました。

社会福祉協議会を後にし、倉敷市災害ボランティアセンターに向かい、ボランティアセンターの体制を視察させていただきました。
猛暑の中の活動されている大勢のボランティアの皆さんに感謝しながら、ボランティアセンターを後にし、避難所となっている薗小学校を訪問しました。
この避難所ではクーラーが設置され、ダンボールベッドとカーテンと段ボールによる仕切りができ上っていて、家族単位でやや狭いがプライバシーを確保できる状態になっていました。
今後入所者の減少に合わせて拡張していくとのことです。
食料は十分あるようで、水もやっと出るようになったとのことでした。

残念なことは、搬入されていた2基のラップ式トイレ「ラップポン」の設置について場所が決まっておらず、職員室で預かっているとのことで、使用方法や効果が理解されていない模様でした。
今後の避難所支援として、シャワーの設置についてもご紹介した。

避難所へ向かう途中、河川を見ると、激流があったような跡が残されていました。
浸水被害の地域を少し視察させていただきました。
泥だらけになった家屋やお店から、泥のかき出しや、浸水した家具などを取り出すなどの作業が、ボランティアの協力を得ながら行われていました。
歩道には、浸水時にたまった泥が乾燥してこびりついている様子で、田畑も茶色に染まっており、地域の家屋のほとんどの1階の窓が外されている様子でした。
清掃のために外されたのか、浸水時に水の勢いで外れたのかわかりませんが、悲惨な光景でした。
道路沿いに置かれている廃棄物は山となっており、被害の様子を目の当たりにして、自然の脅威を改めて実感しました。

今回の倉敷市訪問で誰かに会うと思っていましたが、まず協働プラットホームの小島氏に遭遇。
避難所で跡見学園女子大の鍵屋教授と久しぶりに会え、避難所支援をしていたNPO法人ピースウィンズ・ジャパンの会沢氏とは、広島の支援も含めて、今後の情報交換を約束しました。
日帰りだったので、慌ただしくあっという間でしたが、帰りのSAで、関西の防災士の方々とも会うことが出来ました。
ADI災害研修所では、今後、岡山・広島・愛媛への後方支援の調整を行っていきたいと思っています。

 2018年7月17日
理事長 伊永勉



炊き出し衛生マニュアルが公開されました

日本家政学会から「炊き出し衛生マニュアル」が公開されています。
このマニュアルは、日本家政学会が東日本大震災後に研究プロジェクトを立上げ、その成果として「炊き出し衛生マニュアル」を作成されたものです。
この度の災害にあたり、炊き出し支援をなさる皆様の参考にしていただくため、日本家政学会はPDFファイルを無料公開することにされました。
ぜひ、このマニュアルを活用していただき、これからの季節、食中毒を起こすことのないよう、支援をしていただければと思います。
詳しくは、下記の日本家政学会のサイトをご覧ください。

炊き出し衛生マニュアル (PDFファイル)は、こちらのサイトから http://www.jshe.jp/project/takidashi.html

豪雨災害への支援について個人での救援物資を送るのはやめましょう

善意の気持ちはありがたいですが、被災地が求めていることを確認しないで、個人の思いだけで、衣服や日用品などを送ったり、持ち込むのは控えて欲しいです。
過去の災害でもトラブルがありました。
私が救援活動に携わった阪神・淡路大震災の際も被災者が受け取ってくれそうにない古着や、配り切れずに腐敗したものなどがあり、被災地が困ることになりました。

現在は、行方不明者の捜索や救出、二次災害防止などで、専門の救援活動が続いている地域もあります。

災害ボランティアセンターが開設されて、被災地の状況がはっきりして、被災地からの要望が分かるまでは待ちましょう。
地元の社会福祉協議会等災害ボランティアセンターに相談して、有効な支援をしましょう。
義援金を寄付することも大きな支援になります。
また、各支援活動をしている団体への支援金なども支援の方法です。
今、何が求められているのか、今一度確認してから支援を行うようにしましょう。
そして支援が、被災地や被災者の負担とならないよう、十分な配慮が必要です。

平成30年7月豪雨災害における災害ボランティアの受け入れなどについては、全社協のホームページに各地の社会福祉協議会のリンクがありますので、ご参考にしてください。
全社協 被災地支援 災害ボランティア情報 平成30年7月豪雨(第2報) https://www.saigaivc.com/20180709/ 
リンクは、第2報となっていますので、ご確認の際は、最新の情報を確認してください。

 2018年7月10日
理事長 伊永勉

大雨で浸かったクルマ、水が引いても使用しないでと国交省が注意喚起

国土交通省では、平成30年7月豪雨の被害を受けて、水に浸った自動車ユーザーの方へ、感電事故や、電気系統のショート等による車両火災を防止するための注意喚起を行っています。
大雨等による浸水や冠水被害を受けて水に浸った車両は、外観上問題がなさそうな状態でも、感電事故や、電気系統のショート等による車両火災が発生するおそれがあります。
国土交通省では、次のように対応を呼びかけています。

1.自分でエンジンをかけない。
2.使用したい場合には、お買い求めの販売店もしくは、最寄りの整備工場にご相談下さい。特に、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)は、高電圧のバッテリーを搭載していますので、むやみに触らないで下さい。
3.なお、使用するまでの間、発火するおそれがありますので、バッテリーのマイナス側のターミナルを外して下さい。
   ※外したターミナルがバッテリーと接触しないような措置(テープなどで覆う)をして下さい。

国土交通省ホームページ http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000189.html

JAF(一般社団法人日本自動車連盟)も、過去の災害救援の経験から被災による冠水車両の取り扱いについて注意を呼びかけています。
水害による被災車両は、電気系統(エンジン・ヘッドライト等)の漏電で火災が発生する可能性があります。
冠水した車両の取り扱いの注意点については、以下のとおりです。
1 いきなりエンジンキーを回さない、エンジンボタン(プッシュボタン)を押さないでください。
2 ボンネットを開け水に浸っているようであれば、火災防止のためバッテリーのマイナス側のターミナルをはずして下さい。
3 はずしたターミナルが、バッテリーと接触しないような絶縁処置をして下さい。
4 ハイブリット車(HV)・電気自動車(EV)は、むやみに触らないようにしてください。

JAFのホームページ http://www.jaf.or.jp/profile/news/file/2018_16.htm