ニュース,  伊永勉連載「そなえよつねに」,  活動レポート

現地調査を終え気になる被災者支援の行方

6月22日に高槻市の一部と茨木市の一部に現地調査へ行きました。
現地調査では、被害の大きかった地域の被災状況を見させていただきました。
一部、住民の方のご厚意で、当時の状況や住宅内の被害についてお話を聞かせていただくことができました。
全国的なマスコミでの報道は減り、被害があまり発信されていないようにも感じますが、被災地では、全壊や半壊といった家屋は見受けられませんでしたが、外壁の落下や、ひび割れ、傾き、ブロック塀の傾きなど様々な被害を見ることができました。

一部倒壊しているブロック塀

また、多くの家屋では、室内の家具の転倒や、亀裂などで、安心して住める状況ではない人もいました。
避難所や親族の家に避難しながら、日中片付けなどに訪れてる人もいました。
被災地をみて、感じたことは、東日本大震災や熊本地震のような見るからに被害が大きい災害ではなかったかもしれないですが、被災された方の被害は大きく今後の支援の重要性を感じました。

亀裂の入った玄関のタイル
亀裂の入った壁

また、避難所も見に行かせていただきましたが、平日であったため日中は人がほとんどいない状況でした。
現地調査へ行った22日も暑い日で、避難所の中での生活は、健康管理に十分な注意が必要であると再認識しました。
避難所生活への支援も重要と感じました。

日中の避難所

現地調査の際にも、余震による二次災害防止のため、建物の損傷の状態を点検する応急危険度判定が行われていましたが、6月20日現在の状況は、赤色(危険)判定戸数(危険判定戸数/調査済戸数)は、大阪市北区4戸/825戸、高槻市21戸/97戸、茨木市14戸/51戸で、箕面市・摂津市も検査中で、まだまだ時間がかかることと感じました。
私が気にしているのは、全壊家屋が京都府も含めて10棟未満となりそうな今回の地震による被害ですが、被災者生活再建支援法の適用はあるのかという事です。
この制度では、住宅が全壊か半壊の場合、やむを得ず解体した場合、居住不能な状態が長期化する場合、大規模は補修をしなければ居住が困難な場合に支援金が支給されますが、制度の対象となる住居はどのくらいになるのでしょうか。
この制度の対象となる自然災害は、大まかにいうと、災害救助法施行令に該当する自然災害で、10世帯以上の全壊住宅が発生した都道府県市町村となり、人口によって若干の条件の違いはあります。
条件に適合すれば制度が適用され、例えば、全壊100万円、再建に200万円等の支援金が出るようですが、制度の適用とならない場合は、当該自治体において対応を決めることになっているため、今回はどうなるのか気になるところです。
大阪府の松井知事は、大阪北部地震で一部損壊した住宅の再建に向けた融資制度を検討していることを明らかにしましたが、支援金の給付には触れていません。
兵庫県立大学防災教育研究センター長の室崎先生は、「財政力のない人は、一部損壊と認定され財政支援が得られないと、傾いた家を修理することも出来ず、危険な住宅に住み続けざるをえません。再建を支援するという視点と事前減災で耐震化するという視点から、修理のための支援金を提供できるよう、制度の見直しあるいは弾力的運用が求められます。」との談話を発表されている。

2018年6月26日
理事長 伊永勉

壁の一部が剥離していた
壁が一部はく離したマンション

写真はすべて、6月22日にADI災害研究所が撮影したものです。

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