一般社団法人ADI災害研究所   

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第1回 社協がボランティアセンター運営を断る時代だった

1997年1月7日、福井間の三国海岸に、ロシアのタンカー「ナホトカ号」が座礁して、大量の重油が流出するという大惨事なった。阪神大震災や北日本の豪雨で、全国のボランティア意識が高まっているだけに、油にまみれた鳥や魚をテレビで見ている人たちが、汚れた海岸の回復に集まってくると直感した私は、翌日三国町役場に向かった。役場はただ狼狽えるだけで取り付く島もない有様、ボランティアの話をしても、後で聞くからと追い返された。福井県の防災かに電話しても、担当が防災なのか農水なのかはっきりしない様子。この間、神戸を中心に、続々とボランティアは必要かといった問い合わせが来るので、思い切って総務省消防庁の課長に電話をしたところ、国は状況調査の最中で、海保や海上汚濁防止センター等と調整中ということだったが、災害ボランティアのことを理解している課長が、福井県に電話を入れてくれることになった。福井県の知事公室から三国の町長に電話が入ったのは、それから30分後だった。急に呼び出しを受けて、言われたことは、「これは海難事故だから、ボランティアが来てもすることがあるのかね?」だった。「テレビで汚れた海を見て、油の回収をしに行こうと言おう人たちが大挙して来たらどうしますか」と説明すると、「では、全てお任せします。どうしたいいのか指示してください」ということになった。現地に来ていた神戸の元気村の山田君と連絡をとり、ボランティア本部設置のために、日本財団への資金提供を頼むことにした。私は、集まるボランティアの管理を社会福祉協議会に要請したところ、回答は「社協は災害ボランティアの面倒を見るところではない」とのこと、せめて保険だけは使わせてほしいので、県社協にお願いして何とか承諾を得た。山田君はボランティアセンターの運営を引き受けてもらえる団体として、三国町の青年会議所の新宴会に乗り込み説得。結局JCと社協による運営体制が決まり、1月9日早朝に幼稚園の敷地内にボラセンのプレハブを建て、電話やPC等を設置することとなった。日本財団は現金を用意してくれた。全国にこの状況を知らせる方法として、ニュースステーションの久米宏サン、ニュース23の筑紫哲也さんと、続けて生放送でアピールすることができた。1月10日から、続々と集まるボランティアは、2月末までに約5万人になった。活動中の出来事や反省は改めて書きますが、今や当たり前になった災害ボランティアセンターの設置は、この時まで社協の仕事とは思われていなかったようで、正直なところ今でも社協だけでは荷が重いように思うのは私だけでしょうか。